“Pardon me, Respected Sire,” Khirsah interrupted, using a term of high respect among dwarves, “may I be of assistance?”
Startled, Flint whirled around to see who spoke.
戦記5巻p192
「失礼ながら、尊きご老公」キルサーは、ドワーフ間でのとっておきの敬語を使って、口をはさんだ。「お力添えさせていただきましょうか?」
フリントは仰天して、誰がしゃべったのかとふり向いた。
The dragon bowed its great head. “Honored and Respected Sire,” Khirsah said again, in dwarven.
Amazed, Flint stumbled backward, tripping over Tasslehoff and sending the kender to the ground in a heap.
ドラゴンは大きな頭を垂れた。「誉れ尊きご老公」キルサーは再びドワーフ語で言った。
フリントは驚いてあとずさり、タッスルホッフにぶつかって、かれを地面に突きころばした。
“Well, I--I don’t know,” stammered Flint, flushing in pleased embarrassment at being thus addressed by a dragon. “You might…and then again you might not.” Recovering his dignity, the dwarf was determined not to act overawed.
「さて、ど、どうかな」フリントは竜からこのように呼びかけられて、嬉しいやらまごつくやらで、赤面しながらどもった。「では、頼もうか――いや、やはり結構じゃ」威厳を取り戻して、フリントは卑屈になるまいと決めた。
“Just that I’ve had more important things on my mind lately,”
“and it may take me a while to get the hang of it again.”
「ただ、近ごろ、より重要なことごとが気にかかっていただけじゃ」
「それで、こつを取り戻すのに少し時間がかかるかもしれん」
“Certainly, Sire,” Khirsah said without the ghost of a smile. “May I call you Flint?”
“You may,” said the dwarf gruffly.
「それはもちろんでしょうとも、ご老公」キルサーは微笑の片鱗も洩らさずに言った。「フリント、とお呼びしてもかまいませんか?」
「うむ」フリントはぶっきらぼうに答えた。
“My name to mortals is Fireflash.” The dragon gracefully bowed his head. “And now, if you will instruct your squire, the kender--“
“Squire!”
「定命の者のあいだでは、ファイアフラッシュと呼ばれている」ドラゴンは優雅に頭を下げた。「では、あなたの従士のケンダーに――」
「ぼくが従士だって!」
***
些細なことですが、”squire”と”squirrel”(リス)って似てますね。意外と「炉辺のネコと冬のみそさざい」はここに着想を得ていたりするのかもしれません。リスになったり従士になったり、忙しいタッスル。
“Instruct your squire to come up here; I will help him prepare the saddle and the lance of you.”
“Sir Flint probably isn’t accustomed to this newer model, Squire Burrfoot.”
「従士のケンダーにここへ登るようご命令ください。そうすれば、ぼくが手伝って、かれに鞍と槍のご用意をさせましょう」
「これは新型ゆえ、サー・フリントもお慣れになっていないかもしれない、従士バーフットよ」
“Hey! How do I steer?”
“You indicate which direction you want me to turn by pulling on the reins,”
“Ah, I see,”
“After all, I am in charge--ulp!”
“Certainly, Sire!”
「おい!方向転換はどうやって指示するんじゃ?」
「行きたい方向に手綱を引いてくだされば結構です」
「おお、わかったぞ」
「少なくとも、主導権はわしにあるわけだな――うっぷ!」
「もちろんですとも、ご老公」
“Wait, the reins--“ Flint cried, grasping at them as they slid out of his reach.
Smiling to himself, Khirsah pretended not to hear.
「待て、手綱が――」フリントが叫びながら手をのばしたが、手綱は手の届かないところへ逃げてしまった。
キルサーは独りでにっこりすると、聞こえないふりをした。
***
ドラゴンランス、その基盤であるD&Dの設定では、色の名前がついているのが悪竜で、金属の名前がついているのが善竜だそうですが。「青銅竜」というとどうしても、アン・マキャフリイの『パーンの竜騎士』シリーズが思い出されます。雄竜の中で最も強く大きく、女王たる黄金竜とつがいになれる位、青銅竜。フ=ラルの騎竜ニメンスも、いい性格してたなあ。
タッスルとフリントの対照的な反応が笑えます。リスのような従士って、タッスルにぴったり。
返信削除『バーンの竜騎士』は独特の世界観がとても興味深く、読んでみたいのですがこれも絶版(涙)
本屋さんで見かけなくなったと思ったら『パーン』も絶版でしたか!海外幻想文学本気でやばいですね。見かけたら何はともあれ買っておかねば。
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