2015年1月9日金曜日

戦記5巻p250〜 死の騎士

DRAGONS OF SPRING DAWNING p139

“A death knight!” he whispered in awe.

“This--this creature serves you?” he asked hoarsely.

“Let us say, we agree to serve each other.”

“Does he always frequent your bedroom?”

“He comes and goes as he chooses,”
“It’s his castle, after all.”

戦記5巻p250

「死の騎士!」アリアカスは畏怖にうたれてささやいた。

「これが――これがそなたに仕えているのか?」かれは語気荒く訊いた。

「言うなれば、お互いに仕えあっている、というところでしょうか」

「かれはいつもそなたの寝所に侍っておるのか?」

「わたしの決めることではありません」
「なんといっても、ここはかれの城なのですから」

Ariakas paused, a faraway look in his eyes, his mind running back over ancient legends.
“Lord Soth!” he said suddenly, turning to the figure. “Knight of the Black Rose.”
The knight bowed in acknowledgment.

 アリアカスははっとし、遠くに視線をさまよわせて、脳裏で古代の伝説を忙しく繰った。
「ソス卿!」不意にそう言って、かれは男をふり返った。「黒薔薇の騎士!」
 騎士は自認のしるしに一礼した。

“Do you mean to say that you are not losing on all fronts? That you are not being driven from Solamnia? That the dragonlances and the good dragons have not brought about ignominious defeat?” His voice rose with each word.

「そなたは全前線を失いつつあるのではない、とでも言うつもりか?ソラムニアから駆逐されつつあるのではない、とでも?ドラゴンランスと善竜族に不名誉な敗北を喫せられたのではない、とでも言うつもりか?」彼の声は一言ごとに高じた。

“They have not!”

「そのとおり!」

“It might work,”
“Of course, it will work,”

「これはうまくゆくかもしれぬ」
「もちろん、ゆきますとも」

“But the elfwoman--“
“Need not concern us,”
“This seems the weak link in your plans, Kitiara. What about Half-Elven? Can you be certain he won’t interfere?”

「しかし、例のエルフ女は――」
「案ずるに及びません」
「そなたの計画は、ここが弱点のようだ。ハーフ・エルフはどうなっている?かれが邪魔にはいらぬ確証でもあるのか?」

“It doesn’t matter about him. She is the one counts and she is a woman in love.”
“She trusts me, Ariakas. You scoff, but it’s true.”

「かれは問題ではありません。重要なのは彼女で、そして彼女は恋する女なのです」
「アリアカス卿、彼女はわたしを信用しています。閣下はお笑いになりますが、しかしそれが真実です」

“She trusts me too much and Tanis Half-Elven too little. But that’s always the way of lovers. The ones we love most are those we trust least.”

「彼女はわたしを信用し過ぎ、そしてハーフ・エルフのタニスを信用しなさすぎています。しかし、恋する者とは常にそういうもの。われわれは、最愛の相手を最も疑う性なのでしょう」

***

“The ones we love most are those we trust least.”

 大好きな台詞のひとつです。彼女がどれほどかれを愛していたことか。


The half-elf! What about him? Where was he, for that matter. Ariakas had heard a great deal about him, but had never met him. The Dragon Highlord considered pressing her on this point, then abruptly changed his mind. Much better to have in his possession the knowledge that she had lied. It gave him a power over this dangerous woman.

 あの<ハーフ・エルフ>!かれはどうなっているのか?それを言うなら、いったいかれはどこにいるのか?アリアカスはかれについて山ほど耳にしていたが、一度も会ったことはなかった。ドラゴン卿アリアカスは、この点について彼女に問い質そうと考えたが、不意に気を変えた。彼女が嘘をついたという事実は、かれが内々に秘めていたほうが、はるかに得策である。それにより、かれはこの危険な女の優位に立てるわけだ。

***

 この時キティアラは、タニスは弟たち共々鮮血海で溺れ死んだと思ってるのですよね。それも彼女が殺したようなものですよね。彼女以外それを知るものはいない、誰一人。なおかつそれを利用してローラナを嵌めちゃうこの剛胆さ。ああ痺れる。


Kitiara smiled at him, the charming, crooked smile that so many had found so captivating.
“Thank you, my lord,” she said, “I will not fail you again.”

 キティアラはかれに微笑を向けた。多くの人々を魅了してきた、くせのある微笑。
「感謝します、閣下」彼女は言った。「二度と閣下の期待は裏切らないでしょう」

“No,” said Ariakas coolly, ringing a small silver bell, “I can promise you that, Kitiara. If you do, you will find his fate”--he motioned downstairs where the wailing had reached a shivering pitch--“a pleasant one compared to your own.”

「そう願おう」アリアカスは冷ややかに言うと、小さな銀の鈴を振った。「忘れるでないぞ、キティアラ、もし今の言葉を違えれば、そなたはあのソス卿の運命でさえ」――とかれは、泣き声がおぞましいまでに高まった階下を示して――「そなたを待つ運命に比べれば快適なものだ、と知ることになろうぞ」

***

“captivate”「魅了する、虜にする」という訳が一般的ですが、生物学用語だと「捕獲する」なんて意味に使われたり。肉食系キティアラ様、向かうところ敵なし。

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