“Pardon, your ladyship,” he said sarcastically, “but the servants in your establishment have not thought fit to bring me a razor. I know how the sight of facial hair disgusts you elves!”
To his surprise, Bakaris saw his words draw blood.
戦記5巻p269
「失礼、姫君」皮肉めかして言う。「だが、姫君の館の召使いは、わたしに剃刀を持ってくるのを不穏当だと思ったらしい。あなたがたエルフ族にとっては、ひげ面を見るのはさぞご不快であろうが」
バカリスの驚いたことに、かれの言葉はローラナを激怒させた。
“Get going. Why your miserable carcass is worth trading for Tanis--“
“Flint!” said Laurana tersely.
「さあ、歩け。おまえのようなつまらんやつが、なんでタニスとの交換につりあうのやら――」
「フリント!」ローラナがさっと制する。
Suddenly Bakaris understood!
Kitiara’s plan began to take shape in his mind.
不意にバカリスは納得した!キティアラの計画が、かれの頭の中で全貌を現わしはじめた。
“I wouldn’t call him a prisoner, however, unless you speak of a prisoner of love. Kit must have tired of him. Ah, well. Poor man.”
「しかし、かれを捕虜とは呼べなかろう。“愛の”虜と呼ぶなら別だが。キットはかれに飽きたにちがいない。やれやれだな。気の毒なやつ」
“I used to come to Kalaman when I was little,” Tas said. Finding the slender piece of wire, his small, skilled hands slipped it inside the lock. “My parents brought me. We always came in and out this way.”
“Why didn’t you use the front gate,”
“Oh, yes. We would have used the front gate, but kender weren’t allowed in the city.”
「子供のころ、よくカラマンに来てたもん」タッスルは言った。細い針金を見つけると、かれは熟練した小さな手でそれを鍵穴に差しこんだ。「父さんと母さんに連れられて。ぼくら、いつもこうやって出入りしてたんだ」
「なぜ正門を使わんかったんじゃ?」
「そうそう、できれば正門を使ったろうけど、ケンダー族は市内立ち入り禁止だったからね」
“Elves have their own code of honor,” he sneered. “Or so you said the night you shot me with your cursed arrow.”
Laurana’s face flashed, but she made no answer nor did she fall back before his advance.
「エルフ族にはエルフ族独自の名誉規範があるのだろう」と嘲笑する。「あの忌々しい矢でわたしを射抜いたあの夜、あなたはそう言ったのではなかったかな」
ローラナはさっと赤面したが、返答はせず、かれの接近にたじろぎもしなかった。
***
そこで赤面したってことは、やっぱりやましい気持ちがあったんですか、姫。
Coming to stand in front of her, Bakaris lifted his right arm with his left hand, then let it fall. “You destroyed my career, my life.”
彼女の真正面に立つと、バカリスは左腕で自分の右腕を持ちあげ、そしてだらりと落とした。「あなたはわたしの栄達の道を、わたしの人生を破壊した」
“Tell me one thing,”
“Is it true? Is Tanis with…with Kitiara? Th-the note said he was wounded at Vingaard Keep…dying!”
「ひとつだけ聞かせて」
「あれは本当なの?タニスは……キティアラと一緒にいるの?書状では、タニスはヴィンガールド城砦で負傷して……危篤だ、と!」
“How should I know? I’ve been locked in your stinking prison. But I find it difficult to believe he’d be wounded. Kit never allowed him near a fight! The only battles he wages are those of love….”
「どうしてわたしにわかる?ずっとあの臭い牢に監禁されていたのに。だが思うに、かれが負傷したというのはどうにも信じがたいな。キットがかれを戦闘になど出すものか!かれが一戦を交えるのは、寝床の中でだけだ……」
“You know, Flint,” Tas said solemnly. “Tanis was really fond of Kitiara. Do you remember that party at the Inn of the Last Home? It was Tanis’s Day of Life Gift party. He’d just ‘come of age’ by elven standards and, boy! Was that some party!”
「ねえほら、フリント」タッスルが重々しく言う。「実際、タニスはほんとにキティアラが好きだったじゃないか。<憩いのわが家亭>でのあのパーティ、憶えてる?タニスの生誕日パーティだよ。かれ、やっとエルフの基準で“成人”になったところでさ、それで――そうそう!すごいパーティだったね!」
***
この世界のエルフの基準で成人って、いくつなんでしょうね?2巻によれば、クォリネスティを出たときのタニスは80歳で、人間年齢にして20歳だったとか。そして1巻開始時点で102歳ってことは、5年前には97歳。この17年間のどの時点でソレースに来て、キティアラと恋に落ちて、何歳で成人してこのパーティ?すごく気になってます。
“Do you remember? Caramon got a tankard of ale dumped over his head when he grabbed Dezra. And Raistlin drank too much wine and one of his spell misfired and burned up Otik’s apron, and Kit and Tanis were together in that corner next to the firepit, and they were--“
「憶えてる?キャラモンがさ、デズラをつかんだらビールの大ジョッキを頭からかけられちゃって。それから、レイストリンはワインを飲み過ぎて、呪文のひとつが失敗してオティックの前掛けを焼いちゃってさ、それから、キットとタニスは二人だけで暖炉の横のあの隅にすわって、そして二人は――」
***
見てみたいっ、酔っぱらって呪文を失敗するレイスト!キットとタニスは二人だけでなにを!従士バーフット、その辺りもっと詳しくプリーズ!
Bakaris glanced at Tas in annoyance. The commander disliked being reminded of how close Kitiara really was to the half-elf.
バカリスはいらだたしげにタッスルを睨んだ。かれは、キティアラが本当はあの<ハーフ・エルフ>とどれほど親しかったのかを思い出させられるのを嫌った。
***
実際のところ、バカリスとタニスは会っていないんですよね。タニスがフロットサムにいる間、バカリスはずっと大司教の塔を包囲していたわけですから。それでも男の嫉妬は恐ろしい。世間では女の方が嫉妬深いかのように言われてますが、実際のところ、男の嫉妬の方がたち悪いですよ。キティアラ様ほどの自信がないかぎり、男心を弄ぶのはほどほどにしときましょうね、乙女の皆さん(全くやるなとは言わない)。
“In the name of Reorx,” the dwarf said, his voice breaking, “What is that?”
「レオルクスの名にかけて」フリントはかれた声で言った。「いったい、あれはなんじゃ?」
“Tell them we have the elfwoman. The Dark Lady will arrive tomorrow at noon, to discuss terms of surrender.”
「エルフ女がわれらの手中にあること、皆に伝えよ。<暗黒の女卿>が明日正午に訪れて、降伏条件を提示する」
“He was lying about Tanis. And so was Kitiara. He’s not with her, I know it!”
“How will I ever tell him?” he moaned. “How?”
「こいつはタニスのことで嘘をついた。キティアラもだ。タニスは彼女と一緒にはおらん、絶対に!」
「いったい、どう、タニスに告げればいいのやら?」かれはうめいた。「いったい、どう?」
***
期待を裏切って申し訳ないです、フリント。とりあえずあなたは何も悪くないです。あなただけは。
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