2014年11月15日土曜日

戦記3巻p57〜 双子

DRAGONS OF THE WINTER NIGHT p26

“Very well,” the half-elf said, studying Raistlin. “But you’ll show up on the face of that mountain like a blood stain. Cover yourself with a white robe.” The half-elf’s sardonic smile was an almost perfect imitation of Raistlin’s own.

戦記3巻p57

「よかろう」<ハーフ・エルフ>はレイストリンをじっと見ながら言った。「しかし、君がこの山に登れば、血のしみのように目立つ。白いローブを着るんだな」<ハーフ・エルフ>の皮肉な微笑は、ほとんど完璧にレイストリンの物真似になっていた。

“Your brains are in your sword-arm, my brother,” the mage whispered caustically.

「兄さんの脳みそは利き腕の中なんだね」痛烈なささやき。

“It’s one of the biggedt cities I’ve seen. And--“

“There’s no water!”
“Most observant.”

「おれが知ってる中でも、指折りの大きな都だな。
それに――」

「海がない!」
「よく気がついた」

***

「ささやく」と訳される二つの動詞のうち、”hiss”は鋭く、”whisper”は柔らかい印象を受けます。柔らか〜い痛烈なささやき…


“I feel eyes watching--even now.”
Raistlin put his hand through his brother’s arm. For a rare instant, the two looked remarkable alike. Light and Darkness were not more different than the twins.

「視線を感じるんだ――たった今も」
 レイストリンは兄の腕に手を通した。珍しく、二人は驚くほど似て見えた。いつもは闇と光以上に対照的な双子なのだが。

***

 この時二人が似て見えたのは、おそらくはレイストリンの方がキャラモンに似て見えたのは、かれが白いローブを着ていたことと無関係ではないでしょう。
 私が「レイストリン」という名を初めて目にしたのは、ゲームブック雑誌「ウォーロック」の読者投稿欄の「白いローブのレイストリン」さんというペンネームでした。その方はレイストに白ローブの者になって欲しかったのでしょうね…


“It’s just that I don’t understand--“
Raistlin sighed and shook his head, withdrawing his arm from his brother’s. Then, leaning on his staff, he began to walk down the hill. “Nor will you,” he murmured. “Ever.”

「おれはその、ただ、おれにはわからんと言いたかっただけで――」
 レイストリンは嘆息すると、頭を振り、兄の腕から手を抜いた。そして、杖によりかかりながら丘を下りはじめた。「兄さんにはわかるもんか」かれはつぶやいた。「永遠に」

***

“Nor will you,”
”Ever.”

 この四語の、とりわけ”Ever”一語のやるせなさ。こういうのが見たくて原書取り寄せたようなものです。満足。
…これ書きながら口に出して悶えていたら、旦那に「こいつが変なのはいつものことだ」という目で見られました。どんどんレイストの気持ちに近づいていきます。

3 件のコメント:

  1. たった4つの言葉で感情がひしひしと伝わってきます・・・!
    レイストリンの台詞は声に出して読みたい日本語/英語。私も彼の名言集を作成しながら、悶えています。一人暮らしで周囲に誰もいないのが幸いです。

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  2. 悶えますよねえ…うっかり人前でやらないようにお気をつけ下さい。
    Ryuso-eiyuさんのレイストリン名言集も見てみたいです。

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  3. 名言集は、レポート(卒論)で彼を分析する手段の1つとして作ったので、かなり酷い出来です(汗)でもそれを活かした卒論本文は公開できるかもしれません。

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