2014年11月30日日曜日

戦記3巻p418〜 復活

DRAGONS OF WINTER NIGHT p232

Tasslehoff’s knife clattered to the floor. The kender sagged back against the railing. For the first, last, and only time in his life, Tasslehoff Burrfoot was struck speechless.

戦記3巻p418

 タッスルホッフのナイフが、からんと床に落ちた。かれは、くたりと手すりによりかかった。生まれて以来、最初にして最後、ただ一度だけ、タッスルホッフ・バーフットは言うべき言葉を失った。

“Ah, poor boy. Afflicted, eh? Speech impediment. Sad, sad. Here--“

「そうか、かわいそうに。病気なんじゃな?言語障害か。気の毒なことだ、うむ。そうじゃ――」

“Fizban!”
“Where?” The old man whirled around. Raising his staff, he peered fearfully into the darkness. Then something seemed to occur to him. Turning back around, he asked Tas in a loud whisper, “I say, are you sure you saw this Fizban? Isn’t he dead?”

「フィズバン!」
「どこに?」老人はくるりとふり返った。杖を差し上げて、こわごわ暗がりをうかがう。しかし、何かを思い出したらしく、かれは向き直って、タッスルに大きな声でささやいた。「おい、本当にそのフィズバンを見たのか?やつは死んだのじゃなかったのか?」

“I--I’m not sure, b-but I think you’re Fizban.”

「か、確信はないけど、あ、あんたがフィズバンだと思うよ」

His shoulders sagged. “So I’m dead. Done for. Bought the farm. Kicked the bucket.” He staggered to a bench and plopped down. “Was it a nice funeral?” he asked. “Did lots of people come? Was the twenty-one gun salute?”

 かれの肩ががっくり落ちた。「では、わしは死んだのか。やられたな。墓場行きか。おだぶつだな」かれはとぼとぼとベンチへ行って、ぐったり座りこんだ。「よい葬式だったか?人はたくさん来たか?二十一発の礼砲はあったか?」

“I never in my life splattered!

Tas’s eyes filled with tears as he remembered his heartbroken search for the old man’s body.

“So you left me buried under a mound of chicken feathers?”

“But, come to think of it, I haven’t been able to eat a chicken since.”

「わしは生まれてこのかた、ぐちゃりとつぶれた覚えなどないわ!」

 タッスルは、傷心の中で老人の遺体を探しまわったことを思い出して、涙をいっぱいに浮かべた。

「それでわしを、鶏の羽毛の山の下に埋めたまま置き去りにしたというわけか?」
「しかし、言われてみれば、わしはあれ以来、鶏肉が食えんようになっておる」

***

 三回前で「意地悪」言ってごめんなさい、フィズバン。素敵なボケっぷりに磨きがかかって再登場。

 いつ語ろうか迷ってたんですが、ここでやっちゃいます。不敵にも
「『ドラゴンランス』の残念な点について」
 ただ一点だけです。

 悪の女神、<暗黒の女王>タキシスというキャラクタ―に、魅力がなさすぎるんですよ。狡猾ではあっても愚かな、権力欲の亡者にしか見えない。薄いんですよラスボスにしては!

 対する光の神はこれだけ味のあるキャラなのに。同じダークサイドでも、レイストリンを筆頭に、キティアラ、ダラマール、ソス卿、スティール、メダン元帥と魅力的な人物はいくらでもいるのに。

「ロマンシングサガ(リメイク版)ミンストレルソング」の大詰めで、グレイが邪神サルーインに言っていた、こんな台詞が思い出されます。

「神にしてはずいぶんと程度の低い恨み言を言うものだな。
邪神というからにはもっと邪悪な哲学で
俺を魅了してもらいたいものだ」

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