“Tell me, mage, was the future you say we saw irreversible?”
“Why ask?” Raistlin said wearily. “Would you kill me, Tanis? Now?”
“I don’t know,” Tanis said softly, thnking of Caramon’s dying words. “Perhaps.”
戦記3巻p219
「教えてくれ、魔法使い。われわれが見た未来とやらは、変えられないのか?」
「なぜ訊くのです?」レイストリンはぐったりして言った。「ぼくを殺したいならどうぞ、タニス。今すぐ」
「わからない」タニスは低くつぶやきながら、キャラモンの臨終の言葉を思い出していた。「わからない」
Raistlin smiled bitterly. “Save your energy,” he said. “The future changes as we stand here, else we are the game pieces of the gods, not their heirs, as we have been promised.”
レイストリンは苦笑した。「では力をためておいていてください。未来はぼくらがここに立っている間にも変化しています。でなければ、ぼくたちは神々のゲームの駒でしかありません。実際には神々の後継者として約束されたはずですが」
“Things can never again be the same between us, can they?” the half-elf asked quietly.
Raistlin looked at him for a moment, and Tanis saw a brief flicker of regret in the young mage’s eyes, a longing for trust and friendship and a return to the days of youth.
“No,” Raistlin whispered. “But such was the price I paid.”
「もう昔のようにはいかないんだな?」<ハーフ・エルフ>は静かに訊いた。
レイストリンはつかの間かれを見つめた。若い魔法使いの眼に、後悔の色がちらりと浮かんだ。信頼と友情に満ちた青春時代への憧憬。
「ええ」レイストリンはささやいた。「でも、それがぼくの払った犠牲です」
***
このシーンを思うとき、英雄伝2巻収録の「炉辺のネコと冬のみそさざい」を思い出します。「信頼と友情に満ちた青春時代」とは、例えばこんなエピソードだったのだろうなと。
“Would he be happy, Tanis?
And could I be happy, knowing that I must watch him age and die while I am still in my youth?”
「かれは幸せになれるかしら、タニス?
わたくしは幸せでいられるかしら――かれが年老いて死んでゆくのを、若いままで見守っていなければならないとわかっていて――?」
“I asked myself these same questions, Alhana,” Tanis said, thinking with pain of the decision he had reached concerning Kitiara. “If we deny love that is given to us, if we refuse to give love because we fear the pain of loss, then our lives will be empty, our loss greater.”
「おれも同じことを自問しました、アルハナ」タニスはキティアラについて下した結論を思いながら、胸を痛めた。「与えられた愛を否定したり、失うのが怖いからと言って愛を与えるのを拒んだりしたら、われわれの生は虚しくなり、失うものはいっそう大きくなってしまいます」
But he could not help wondering, as he did, that if he was so damn wise, why was his life in such a mess?
しかし、かれはまたもや思い悩まずにはいられなかった。偉そうなことが言えるのなら、なぜおれの人生はこうまでうまくゆかないんだ?
若い魔法使いの眼に、後悔の色がちらりと浮かんだ。信頼と友情に満ちた青春時代への憧憬。...最も心が震えた訳の1つです。英語版で感動し、日本語で読んだ瞬間、翻訳家になる夢をきっぱりとあきらめたのを今でも覚えています。
返信削除レイストリンの偉大さを知ったパリンは、魔術師になる夢を諦めましたか?
返信削除実は英語が苦手な友人への海外竜槍同人の翻訳や、翻訳大賞への応募などを地味にやっています。翻訳家として生計を立てることは断念したものの、ライフワークとして一生地道に続けるつもりです。
返信削除生計を立てることと、夢を追い続けることは別物だと思っています。Twitterでも散見しますが、海外文学絶滅の危機と聞くと海外派としては悲しい気持ちになります…そんな中で、Ryuso-eiyuさんのような活動には計り知れない価値があると思いますし尊敬します。特に海外同人作品の翻訳に興味津々です。今私が書いてるようなものなんて、とっくに書かれてるんだろうなと思いつつ。(まだ一次草稿もできてません)
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