2014年11月14日金曜日

戦記3巻p24〜 竜槍

DRAGONS OF WINTER NIGHT p7

It was a footman’s lance, nearly twelve feet long. The point was made of pure silver, barbed and gleaming, the shaft crafted of polished wood. The tip was steel, designed to be thrust into the ground.

戦記3巻p24

 それは、四メートル近くある歩兵槍だった。槍の穂はまばゆい純銀で、逆棘がつき、柄は磨き上げた木の細工、石突きは鋼で、地面に突き刺せる形になっていた。

“There is your dragonlance, knight,” Raistlin hissed, “without benefit of the Hammer or the Silver Arm. Will you ride with it into glory, remembering that, for Huma, with glory came death?”

「あなたの竜槍ですよ、騎士どの」レイストリンがささやいた。「<槌>の力も<銀の腕>の力も借りていません。これを持って栄光へと疾駆しますか、ヒューマにとっては栄光とともに死が訪れたのを承知のうえで?」

“More of your tricks!” he snarled. Spinning on his heel, he stalked away, choking in anger.
“If you meant that as a joke, Raistlin,” Tanis said quietly, “it wasn’t funny.”

「また目くらましか!」かれは怒りのあまり言葉もなく、踵を返して大股で歩みさった。
「レイストリン、冗談のつもりなら」タニスは静かに言った。「おもしろくはなかったぞ」

“A joke?” the mage whispered. His strange golden eyes followed the knight as Sturm walked into the thick blackness of the dwarven city beneath the mountain. “You should know me better, Tanis.”

「冗談?」魔法使いはささやいた。異形の金色の眼は、闇の中へ歩み去る騎士スタームの姿を追っていた。山の直下のドワーフの都は、闇が深い。「まだぼくのことをご存じないのですか、タニス」

The mage laughed--the weird laughter Tanis had heard only once before. Then, bowing sardonically to the half-elf, Raistlin disappeared, following the knight into the shadow.

 魔法使いは笑った。タニスが以前一度だけ耳にした、不気味な笑い声だった。やがてレイストリンは、わざとらしく<ハーフ・エルフ>にお辞儀をすると、騎士と同じ暗闇の中へ消えていった。

***

“You should know me better, Tanis.”
 直訳すると「あなたはぼくのことをもっと良く知るべきですね、タニス」なんですが、この訳がまたなんと素敵なこと!皮肉度50%増し!(当社比)

 一方、さるところで拝見したネタ四コマ漫画の影響か、渾身の冗談を「おもしろくなかった」と言われて陰でひっそり落ち込むレイストリンなんてのも想像して勝手に震えております。素敵シーンの印象を台無しにしてごめんなさい。反省します。

2 件のコメント:

  1. 日本語版を読むと、安田均が本当にレイストリンを理解しているんだなぁと感じます。
    落ち込んで隅っこのほうで膝抱えているレイストリン・・・
    一度彼について想像しはじめると止まりません。時の瞳持つ魔術師の魔法、恐るべし。

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  2. 本日更新分の"Nor wii you, Ever."も、こう来ますか!と叫びたくなる訳です。
    妄想は止まりませんね、はい。思い出し笑いに気をつけましょう。

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