2014年11月2日日曜日

戦記2巻p131〜 疑惑

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT  p337

“I’ll believe he’s turned traitor to his people the day I believe you or Caramon turn traitor.”

Tanis shouted, now on fury, “if there’s people I don’t trust in this group, it’s that brother of yours and that old man!” He stared accusingly at Caramon.

戦記2巻p131

「かれは仲間を裏切るなど、君やキャラモンが裏切るのと同様おれには信じられない」

「このグループでおれが信用していない者がいるとすれば、それは君の弟とあの老人だ!」かれは弾劾の目でキャラモンを睨んだ。

“I’m sorry, Caramon.”
“I didn’t mean that. Raistlin’s saved our lives more than once on this insane journey. It’s just that I can’t believe Gilthanas is a traitor!”

「すまない、キャラモン」
「そんなつもりじゃなかった。レイストリンはこの気違いじみた旅で、一度ならずおれたちの命を助けてくれた。おれはただ、ギルサナスが裏切り者だとは信じられないだけなんだ!」

“What does Sla-Mori mean?”
“Secret Way.”

「“スラ=モリ”の意味は?」
「“秘密の道”」

***

"I'll believe--"直訳すると「君やキャラモンが裏切り者になる日が来たら、かれ(ギルサナス)が裏切り者になったと信じるだろう」英語的まわりくどさ?


 拙文の下書きにはWordを使ってるんですが、実はこの辺りのメモを取ってる頃まで、ティカの綴りをTicaと勘違いしてました。気がついて慌てて全文置換かけたら、”frantically”なんて単語から”that I can’t”なんてのまで置換されてカオスなことに。あぶないあぶない。

 本題に戻りまして、謎の男エーベン登場。ギルサナスと旧知の仲のようですが…。


“I dared not leave him behind,” Gilthanas answered grimly. “One of us should keep an eye on him.”
“Yes.” Tanis fell silent.

「残すのが不安だったからだ」ギルサナスはむっつりと答えた。「かれから目を離さないことだ」
「ああ」タニスは沈黙した。

“And on me, too, you’re thinking,” Gilthanas said in a tight voice. “I know what the others say--the knight especially. But, I swear to you, Tanis, I’m not a traitor! I want one thing!” The elf’s eyes gleamed feverishly in the dying light. “I want to destroy this Verminaard. If you could have seen him as his dragon destroyed my people! I’d gladly sacrifice my life--“

「ぼくも同じだ、と思っているんだろう」ギルサナスが固い声で言った。「みんながなんと言っているかくらい、わかってる。とくにあの騎士だ。だが、タニス、ぼくは誓って裏切り者ではないぞ!ぼくの望みはただひとつ」エルフの瞳は消えてゆく光の中で熱っぽく燃えた。「ぼくはあのヴェルミナアルドをうち滅ぼしたい。やつがドラゴンにエルフたちを殺させたときのありさまを、おまえも見ていたなら!ぼくは喜んで命を――」ギルサナスはだしぬけに言葉を止めた。

***

 ギルサナスが「タニス」と呼ぶのはこれが初めてですね。すぐに戻っちゃいましたが。


“And our lives as well?”

“If you must know, Tanthalas, your life means that--“ He snapped his fingers. “But the lives of my people are everything to me.”

「おれたちの命も、か?」
「知りたいと言うのなら、タンサラス、おまえたちの命など、こうだ」かれはぱちんと指を鳴らした。「だが、エルフの民の命はぼくにはすべてなのだ」

***

 レイストリンほどではないですが、ギルサナスも信じてもらおうって気がないですね。ほらほら、奴は讒言吐きまくりだと言うのに!
 ところでタニスは”our lives”「おれたちの命」と訊ねていますが、原文のギルサナスは”your life”と単数(タニス一人)について答えています。そして邦訳では「おまえたちの命」。なんだか気になりました。

2 件のコメント:

  1. 1度だけギルサナスのタニスへの呼び方が変わったのは盲点でした。作者のミスか、それとも他の理由があるのか。
    彼の反感を買いかねない意見を隠すことなく表明する所は、奴と比べると一種の清々しさを感じます。エルフの若君が今後どう変わっていくのか楽しみです。

    返信削除
  2. 読み手次第ですが、私はミスではなく作為だと考えています。
    おそらくここまでの旅路で、ギルサナスは「タニス」という呼び名が、かれを信頼する人たちが使う言葉だと肌で感じているだろうと思うのです。だから"I swear to you,"という言葉に続いて、自然に"Tanis"が出てきたのではないのかなと。後にローラナが「タニス」と呼び変えるときの状況にも似たものを感じます。

    返信削除