“My friend!” Caramon’s eyes were wet. He seemed about to say more but was overcome of emotion. Tanis was also momentarily unable to talk, but this was because he’d had his breath squeezed out of him by Caramon’s muscular arms.
“Where’s Raistlin?” he asked when he could talk. The twins were never far apart.
“There.” Caramon nodded toward the end of table. Then he frowned. “He’s changed,” the warrior warned Tanis.
戦記1巻p48〜
「友よ!」キャラモンの瞳はうるんでいる。何か言いかけて、感きわまってしまったようだ。タニスもしばし口がきけなかったが、これはキャラモンのたくましい腕で息をしぼり出されてしまったからである。
「レイストリンはどこに」と、かれは口がきけるようになると訊いた。この双子は決して遠く離れることがない。
「そこだ」キャラモンはテーブルの端のほうへうなずいてみせた。しかし眉をひそめて「こいつは変わってしまった」とタニスに警告した。
***
純朴な大男、キャラモンに初めて落ちる影。
“I see my appearance startles you,” Raistlin whispered. There was a faint suggestion of a smile on his thin lips.
「ぼくの姿に驚いているのでしょう」レイストリンはささやいた。薄い唇にかすかに微笑らしきものが浮かんだ。
***
レイストリンの外見の描写は飛ばしました。内面の方を強調しようと思いまして。
“My brother and I planned a journey so secret I could not even tell you, mu dear friends, where we were going.”
There was a faint note of sarcasm in the gentle voice. Tanis bit his lip. Raistlin had never, in his entire life, had any “dear friends.”
「ぼくと兄はある旅を計画したのだけれど、それには重大な秘密がからむので、大切な友人であるあなたがたにも行く先は言えなかったのです」
穏やかな声の中にかすかに皮肉な調子があった。タニスは唇をかんだ。レイストリンには一人も――生まれてから一度も――「大切な友人」などいないのだ。
***
皮肉癖発動。しかし本当のところどうでしょう?私には、あなたには、タニスが思うような「大切な友人」はいるでしょうか?抱きしめるばかりが友人ではないとも思うんですが。
“You can imagine my pride,” Raistlin said coldly, irritated at the interruption--“My brother and I traveled to the secret place, the fabled Tower of High Sorcery. And there I had passed the Test.” The mage’s voice sank, “And there I nearly died!”
「ぼくの誇りがどんなものだったかおわかりでしょう」腰を折られて、レイストリンは冷ややかに言った。「ぼくと兄は秘密の場所へ旅をしました――伝説の<上位魔法の塔>です。そこでぼくは<大審問>に合格しました」魔法使いの声が沈んだ。「そして、危うく死ぬところだった!」
***
"You can imagine"「どんなものだったかおわかりでしょう」
<上位魔法の塔>="Tower of High Sorcery"はわかりますが、<大審問>はシンプルに"the Test"なんですね。
Caramon choked, obviously in the grip of some strong emotion. “It was awful,” the big man began, his voice shaking. “I found him in that terrible place, blood flowing from his mouth, dying! I picked him up and--“
キャラモンが明らかに何か激情に見舞われて、息をつまらせた。「すさまじいものだった」と、大男は震える声で言う。「おれがあの身の毛のよだつ場所で見つけたときには、こいつは口から血を流し続けて死にかけていたんだ!おれが抱き上げて――」
“Enough, brother!” Raistlin’s soft voice flicked like a whip. Caramon flinched. Tanis saw the young mage’s golden eyes narrow, the thin hands clench. Caramon fell silent and gulped down his ale, glancing nervously at his brother. There was clearly new strain, a tension between the twins.
「もういい、兄さん」レイストリンの抑えた声が鞭のように飛んだ。キャラモンは身をすくめた。タニスは、若い魔法使いが金色の目を狭め、肉のない手を握りしめているのを見た。キャラモンは黙りこんでビールを飲み干すと、ちらりと弟をうかがった。新しい緊張――双子のあいだにきわどいものが存在するのは明らかだった。
***
"new strain, a tension between the twins"
何度か仄めかされはするものの、それが何なのか知ることになるのは、はるか先、鮮血海でのことでした。
何故あそこまでかれを追いつめる必要があったのですか、大パー・サリアン?
マジェーレ家が抱える闇。それは双子だけの話ではないのでした。
“It’s from Kitiara,” he said finally, knowing his voice sounded strained and unnatural. “She’s not coming.”
There was a moment’s silence. “That’s done it,” Flint said. “The circle is broken, the oath denied. Bad luck.” He shook his head. “Bad luck.”
「キティアラからだ」ようやくかれは言ったが、自分でも声が緊張して不自然なのがわかる。「彼女は来ない」
一瞬の沈黙。「これでだめになった」と、フリント。「誓いが拒まれ、輪が破れた。凶兆じゃ」かれはかぶりを振った。「凶兆じゃ」
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