“We do not mourn the loss of those who die fulfilling their destinies.”
It seemed to Tanis that the Forestmaster’s dark eyes went to Sturm as she spoke, and there was a deep sadness in them that filled the half-elf’s heart with cold fear.
戦記1巻 p214
「わたくしたちは使命を全うしたものの死は嘆かないのです」
タニスには、森の長が話しながら暗い瞳をスタームに向けたように見えた。その瞳に漂っていた深い悲しみの色は、<ハーフ・エルフ>の心をわけのわからない不安で満たした。
“How do you know, Master,” Tanis asked hesitantly, “whether the life of any creature has fulfilled its destiny?”
「長よ」タニスはためらいがちに訊いた。「どのように見わけるのですか、ある生物が生きる使命を果たしたかどうかということを」
“You have answered your own question, Tanis Half-Elven, far better than I could.”
“Say that our lives are measured not by gain but by giving.”
「あなたは、ご自分の問いに答えを出しましたよ、ハーフ・エルフのタニス。わたくしよりもずっと上手に」
「わたくしたちの人生は何を得たかではなく、何を与えたかで計られるのではありませんか」
***
スタームの運命を予言するかのようなひとこま。
“Your cares won’t vanish with the meal--and, if they do, so much the better.”
「食事をしても心配事は消えたりはしませんわ」
「それに、もしそれで消えたとしたら、なおいいではありませんか」
***
いいこと言いました。食事は大事です。たまに忘れますけど。
しかし冒険者の食生活とか衣類とかどうなってるんでしょうね?携帯食料って何日分くらい持って歩けるのかなあとか、沼に落ちたら駄目にならないのとか。着替えなんてないですよね、着たきり雀ですか王女様とか突っ込んじゃいけませんよね。
“Because we’d probably rip Raistlin’s heart out,” Sturm answered, in a low, pain-filled voice. “I don’t care what you say, Caramon, there’s a dark side to your brother, and Tanis has seen it. For which I’m grateful. He can deal with it. I couldn’t.”
「われわれがレイストリンの本心を暴き出しかねないからだろう」スタームが苦痛に満ちた声で低く答えた。「キャラモン、君がなんと言おうと、君の弟には暗黒の面があって、タニスはそれを見たことがあるのだ。タニスで良かった。かれにはそいつが扱える。わたしなら無理だろうからな」
Uncharacteristically, Caramon said nothing. Sturm stared at the warrior, startled. In the old days, the fighter would have leaped to his brother’s defense. Now he sat silent, preoccupied, his face troubled.
キャラモンはかれらしくもなく、何も言わなかった。スタームはぎょっとして戦士を見つめた。以前なら、この戦士は弟を守るためにとびかかってきただろう。それが今は、困った顔で黙ってぼんやりとすわっている。
So there is a dark side to Raistlin, and now Caramon, too, knows what it is. Sturm shuddered, wondering what had happened in these past five years that cast such a dark shadow across the cheerful warrior.
するとやはり、レイストリンには暗黒の面があって、今ではキャラモンもそれが何かを知っているのだ。スタームはぞっとして、陽気な戦士にこれほどの暗い影を落とすとは、この過去五年の間にいったい何が起きたのだろう、と訝しんだ。
***
再読時に気がついたんですが、スタームは<憩いの我が家>亭に遅れて来たので、レイストリンの<大審問>の話を聞いていないのでした。”new strain, a tension between the twins”のことも。あれからゆっくり昔話なんてする時間なんてなかったですしね、少なくともまだこの時点では。
“I am magi, Tanis, not a seer.”
“I know you don’t have the gift of foresight. You were thinking, not scrying. And you came up with answers. I want know those answers. You have got more brains than all of us put together, even if--“
「ぼくは魔導士ですよ、タニス、見者じゃありません」
「君に予知能力がないのは知っている。君は水晶占いをしてたんじゃない。考えてたんだろ。そして答えを見つけたんだ。おれはその答えが聞きたい。君の頭はおれたち全員を束にした以上だ、たとえ――」
“Even if I am twisted and warped.” Raistlin’s voice rose with harsh arrogance. “Yes, I am smarter than you--all of you. And someday I will prove it! Someday you--with all your strength and charm and good looks--you, all of you, will call me master!”
「たとえ、ゆがんでねじくれていようともね」レイストリンは険しく、傲岸に声を荒げた。「そうだ、ぼくはあなたより利口だ――あなた方の誰よりも。いつかその証しを見せてやる!いつかあなたは――力も魅力も容姿も兼ね備えているあなたをはじめ――あなた方全員は、ぼくを主とあがめるんだ!」
***
"even if--"この後タニスがどう続けるつもりだったにせよ、レイストリン自身の言葉ほど辛辣ではなかったでしょうね。いや、そうだったからこそ言葉を止めたのでしょうか?
“Your advice?” Tanis asked reluctantly. He felt change coming and, like all elves, he feared and detested change.
「君の助言は?」タニスはいやいや尋ねた。かれは変化の到来を感じ、そして全エルフと同じく変化を恐れ、嫌っていた。
Raistlin smiled his crooked, bitter smile, reveling in his moment of superiority. “That we go to Xak-Tsaroth immediately. That we leave tonight, if possible, by whatever means this Forestmaster has planned.”
レイストリンはゆがんだ冷笑を浮かべて、自分の優越感を楽しんでいる。「ただちにザク・ツァロスへ行くこと。できれば今晩にも。森の長の案が何であれ、それによって旅立つことです」
“Do you believe we were chosen, Raistlin?”
「おれたちは選ばれたのだと思うか、レイストリン?」
The mage did not hesitate. “Yes. So I was given to know in the Tower of Sorcery. So Par-Salian told me.”
“But who chose us? And for what purpose? Consider that, Tanis Half-Elven!”
魔法使いは即座に答えた。「ええ。ぼくは<上位魔法の塔>でそう知らされました。パー=サリアンはぼくにそう言いました」
「でも、誰がぼくたちを選んだのです?なんの目的で?それを考えるんですよ、タニス」
***
初読時(10代でした)には「いい大人が何やってるんだこいつら〜」となったものです。タニス大人げない!レイストリン、あなたも25歳でしょうなにその態度、とか思いましたよ。しかし再読、再再読してるとひしひしときます。所詮25とか人間年令にして30とかなんてこんなものよね、うん。
「神々の剣」として望まれた、この時点ではまだ脆弱なレイストリン、そして一行。<憩いの我が家>亭で椅子とテーブルを並べていた老人は、そろそろ帽子の準備中でしょうか。
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