2014年12月25日木曜日

戦記5巻p32〜 嘘

DRAGONS OF SPRING DAWNING p12

“Caramon!”
The big warrior instantly sat bolt upright, his hand reaching reflexively for his sword, even before he turned to look questioningly his brother.
“I heard a noise outside,” Raistlin whispered. “The sound of a scabbard clanking against armor.”

戦記5巻p32

「キャラモン!」
 大男の戦士は、即座に上体を起こした。反射的に剣に手をかけ、そして問うように弟をふり返る。
「外で何か音がした」レイストリンがささやく。「鎧に剣の鞘が当たる音だ」

Gripping his sword, Caramon motioned to his brother. Raistlin nodded and melted back into the shadows. His eyes were abstracted. He was calling to mind a magic spell.

 剣を握りしめて、キャラモンは弟に合図を送った。レイストリンがうなずき、陰の中に退く。かれの目が焦点を失った。呪文を呼びおこしているのだ。

***

 ここ、珍しく邦訳を下読みしないでいきなり原文に入ってました。場面の成り行きはわかっていたつもりでしたが、”His eyes were abstracted.”で座礁。
”abstract”と聞いて頭に浮かんだのは「要旨」。eyesがabstractしたってどういうこと?短く書き縮められた、つまり狭められ、細められた?それとも内容を凝縮した、つまり集中した?
 邦訳によると「かれの目が焦点を失った」
 そこで初めて辞書を引くと、abstracted=「ぼんやりした、抽出した」
 うう、文系英語難しいよ〜。


“Where have you been, Half-Elf?” Raistlin asked in his soft, whispering voice.
Tanis swallowed nervously. “I was captured by a Dragon Highlord,”

「まったく、どこにいらしたのですか、ハーフ・エルフどの?」レイストリンは持ち前の、そっとささやくような声で尋ねた。
 タニスは神経質に唾を飲み込んだ。「おれはドラゴン卿につかまったんだ」

“Interesting.” Raistlin coughed the word.
Tanis glanced at him sharply. “What’s interesting?”
“I’ve never heard you lie before, Half-Elf,” Raistlin said softly. “I find it…quite…fascinating.”

「それはおもしろい」レイストリンが咳まじりに言った。
 タニスはきっとかれを睨んだ。「何がおもしろい?」
「今まであなたが嘘をつくのを聞いたことがありませんでしたからね、ハーフ・エルフどの」レイストリンは静かに言った。「だから…じつに…魅きつけられるのです」

As for Raistlin…well, it didn’t really matter what the mage thought or said. The others would believe Tanis over Raistlin even if the half-elf claimed day was night. Undoubtedly Raistlin knew this, which was he didn’t cast any doubts on Tanis’s story.

 ただ、レイストリンだが……いや、あの魔法使いが何を思おうが、言おうが、実際にはたいして変わりはないのだ。たとえタニスが白を黒と言おうが、みんなはレイストリンよりタニスのほうを信じるだろう。レイストリン自身も、疑いなくこのことを知っている。だから、タニスの作り話になんの疑問も投げてよこさないのだ。

***

“even if the half-elf claimed day was night”「たとえ白を黒と言おうが」こういう慣用表現も面白いですね。

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