2015年2月13日金曜日

戦記6巻p266〜 緑竜

DRAGONS OF SPRING DAWNING p365

Caramon cried out, just as lightning sizzled from Raistlin’s fingertips. Screaming in agony, the draconians burst into flame and fell, writhing, to the ground.

戦記6巻p266

 キャラモンが大声をあげたが、その瞬間、レイストリンの指先から稲妻が噴き出した。ドラコニアンは絶叫とともに炎に包まれ、もがきながら地面に倒れた。

“You didn’t need to do that, Raistlin,”

“The war’s over,” Caramon added sternly.

「そこまですることなかったのに、レイストリン」

「戦争は終わったんだ」キャラモンが厳しく言い添える。

“Is it?”
“It is weak, sentimental twaddle like that, my brother, which assures the war’s continuation.”

「そうかな?」
「戦争が続いていくのは、兄さん、そんなふうなひよわで感傷的な戯言のせいだよ」

“A dragon!”
“It seems familiar, somehow.”

“You have,”
“in the dream. This is Cyan Bloodbane, the dragon who tormented poor Lorac, the Elven King.”

“He comes at my command,”
“he has come to take me home.”

「竜だ!」
「なんだか見覚えがあるみたい」

「あるんだよ」
「夢の中でね。これがカイアン・ブラッドベイン、哀れなエルフ王ロラックを苛んでいた竜だ」

「ぼくの命令でやってきたのだ」
「かれがぼくを故郷へ運んでくれる」

The dragon circled lower and lower, its gigantic wingspan spreading chilling darkness. Even Tasslehoff(though he later refused to admit it)found himself clinging to Caramon, shivering, as the monstrous green dragon settled to the ground.

 竜は螺旋降下にはいった。巨大な翼が冷え冷えとした闇を展開する。タッスルホッフでさえ(後になってかれは認めようとしなかったが)思わずキャラモンにしがみついて震えるなか、けたはずれのその緑竜は地面に降り立った。

“Wait! Raistlin!” Caramon cried raggedly. “I’ll go with you!”

「待て!レイストリン!」キャラモンは必死の声をあげた。「おれも一緒に行く!」

***

 わかっているのですね。かれの「故郷」がもはやソレースではないことを。


 “Would you?” Raistlin asked softly, laying a soothing hand upon the dragon’s neck. “Would you go with me into darkness?”

「ほんとうに?」レイストリンはそっと訊きながら、竜の首をなだめるように撫でた。「ほんとうにぼくと一緒に闇の中へ行くのかい?」

***

 竜の首を撫でてなだめるのはお姉様直伝ですか。それとも本能ですか。どちらでもいいので撫でられた…(略)


“I truly believe you would,” the mage marveled, almost to himself. For a moment Raistlin sat upon the dragon’s back, pondering. Then he shook his head, decisively.

「兄さんならほんとうにくるだろうね」魔法使いはほとんど独り言のように感嘆した。つかの間、レイストリンは竜の背の上で考えこんだ。しかし、きっぱりとかぶりを振る。

“No, my brother, where I go, you cannot follow. Strong as you are, it would lead you to your death, We are finally as the gods meant us to be, Caramon--two whole people, and here our paths separate.”

「いや、だめだ、兄さん。ぼくの行くところへは兄さんはついてこられない。いくら力が強くても、それは兄さんにとって死に至る道だ。ぼくらは結局、神々が予定されていたとおりの存在になったんだよ、キャラモン――二人の全き人間、にね。そして、ここでぼくらの道は分かれるんだ」

“You must learn to walk yours alone, Caramon”--for an instant, a ghostly smile flickered across Raistlin’s face, illuminated by the light from the staff--“or with those who might choose to walk with you. Farewell, my brother.”

「兄さんも自分の道を一人で歩いてゆくことを学ばなければならない」――一瞬、レイストリンの顔にかすかに笑みが走ったのが杖の光で映し出された――「あるいは、兄さんと歩いてゆくことを選んだ者たちとでも。さようなら、兄さん」

***

"Farewell, my brother."
 今度こそ、祝福の祈りに聞こえます。なのにそれを受け入れられない困った兄。

「天空の金竜の書」はあと2回で終わります。それから「帰郷」と「レイストリンの告別」。ははは6巻30回ですよ。しかも長い。最初は名台詞だけの予定だったのに、気が付いたらあれもこれもと止まりませんでした。
「告別」は全文やっちゃいます。あれを部分的に抜き出すなんてできません。

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