2014年12月7日日曜日

戦記4巻p119〜 会議

DRAGONS OF WINTER NIGHT p306

“Mention not my daughter!” the Speaker said in a deep, harsh voice. “I do not have a daughter.”
Something broke within Tasslehoff.

戦記4巻p119

「わが娘などと言ってくれるな!」評議長が深く激しい声で言った。「余に娘などおらぬわ!」
 タッスルホッフの中で何かが砕けた。

“Stop this!” Tasslehoff heard himself yelling at the top of his voice. “Stop this right now and listen to me!”

He thought he saw--out corner of his eye--Fizban grinning under his hat.

「やめてよ!」タッスルホッフは自分でも気づかないうちに、声のかぎり叫んでいた。「たった今、この騒ぎをやめて、ぼくの話を聞いてよ!」

 かれは――視野の端で――フィズバンが帽子の陰でにやりと笑うのが見えたような気がした。

“I demand the right to represent my people,” Tasslehoff said proudly, “and take my place on the advisory council.”

And then Tasslehoff knew what he had to do.

「ぼくはケンダー族の代表者となる権利を要求します」タッスルホッフは誇らしげに言った。「ぼくを諮問員に入れてください」

 そのとき、タッスルホッフは自分が何をなすべきか悟った。

“We cause lots of trouble, I suppose, without meaning to, and occasionally some of us do happen to acquire certain things which aren’t ours. But one thing the kender know is--“

「ぼくたちは、そのつもりじゃなくても、もめごとを次々と引き起こしてるんでしょうし、自分のものじゃない物を失敬してしまう場合だって、ときにはあります。でも、これだけはケンダーにだってわかるんだ――」

In one swift, smooth movement, Tasslehoff hurled the dragon orb at the huge, gleaming Whitestone.

“We know,” he said in a small voice that dropped into the dreadful silence like a tiny drop of rain, “we should be fighting dragons. Not each other.”

 一瞬のなめらかな動作で、タッスルホッフは、ドラゴン・オーブを巨大なホワイト・ストーンめがけて投げつけた。

「つまり」かれの小さな声は、恐ろしい沈黙の中へ、雨のひとしずくのように落ちていった。
「ぼくたちの闘う相手はドラゴンなんだ。お互い同士じゃないはずなんだ」

***

 英雄タッスルホッフ・バーフット、爆誕。

2014年12月6日土曜日

戦記4巻p101〜 二本の道

DRAGONS OF WINTER NIGHT p295

“I saw two roads stretching before us. If we take the easiest, it will appear the best at the beginning, but darkness will fall at the end, never to be lifted. If we take the other road, it will be hard and difficult to travel. It could cost the lives of some we love, dear boy. Worse, it might cost others their very souls. But only through these great sacrifices will we find hope.”

戦記4巻p101

「二本の道がわれわれの前方にのびておった。易しいほうをとれば、初めは最善のように見えるが、最後には闇がふりかかって、その闇は二度と取りはらうことができない。もう一つの道を選べば、辛く困難な旅になろう。われわれの愛する者たちの生命を犠牲にすることもあり得るのだ、タッスルよ。さらに悪いことに、その者たちの魂までも犠牲にするかもしれん。しかし、これらの大きな犠牲によってのみ、われわれは希望を見つけられるのだ」

The lives of some you love! I never thought about any of us dying--not really. I always figured that if we were together we could beat anything! But now, we’ve gotten scattered somehow. And things are going wrong!

『おまえの愛する者たちの生命!』ぼくたちの中の誰かが死ぬなんて、今まで考えたこともなかった――真剣には。ぼくたちが力を合わせればなんだってやっつけられると思ってきたのに!でも今じゃ、みんななぜか散り散りだ。それから、何もかも変な具合になっている!

“Send a message to the Dragon Highlords: ‘Don’t bother to come and wipe us out. We’re managing quite nicely on our own.’”

「ドラゴン卿に使いを送ってやれ。『われわれを掃討するのに、わざわざ来ていただくにはおよびませぬ。みごと自滅いたしてみせましょう』とな」

“It is written in the Disks of Mishakal that evil, by its very nature, will always turn in upon itself. Thus it becomes selfdefeating.”

「<ミシャカルの円盤>には、悪はその本性により、常にみずからをむしばむ、と書かれてあります。ですから、悪は自滅するのです」

***

 善だってそれを奉じる者をむしばむことでは変わりない、いやそれ以上なんですけどね。

「天国に行く最も有効な方法は、地獄へと至る道を熟知することである」

2014年12月5日金曜日

戦記4巻p68〜 珍客

DRAGONS OF WINTER NIGHT p278

“A kender?”
“I’m afraid so, my lord. But don’t worry,”
“I’ve locked the silver in a drawer, and your lady wife has taken her jewelry to the cellar.”
“You’d think we were under siege!”

戦記4巻p68

「ケンダーが?」
「残念ながら、そのようで、閣下。ですが、ご心配にはおよびません」
「銀器はわたくしが引き出しにしまって鍵をかけましたし、奥方様はお身回りの宝石類を地下室へお持ちになりました」
「城攻めにでもあったような騒ぎだな!」

"Merry Yuletide to you, sirs," he said.

「冬至節おめでとう、両君」かれは言った。

“Sturm did say something about a kender. Who were the others in your party?”
“Flint the dwarf, Theros the blacksmith, Gilthanas and Laurana--“

「スタームは確かに、ケンダーがどうのこうのと言っていた。そなたの仲間にはほかにどんな者がいる?」
「ドワーフのフリントでしょ、鍛冶屋のテロスに、ギルサナスとローラナ――」

“But he never mentioned a magic-user….”

“Oh, that’s because I’m dead,”

Gunthar felt he was rapidly losing his grip on the situation.

「しかし、魔法の使い手のことは一言も聞いておらぬが……」
「ああ、そりゃ、わしが死んだからじゃよ」

 グンターは、自分が事態の把握力を急速に失っていくのを感じた。

“Why do you want to know?”

“Let it be enough for you to know that I have come seeking the orb.”

「なぜオーブを?」
「わしがオーブを探しに来た、ということを知っただけで満足しておけ」

“The dragon orb is with the gnomes.”

Fizban dropped his mug with a crash. It broke into a hundred pieces that skittering across the wooden floor.
“There, what’d I tell you?”

「ドラゴン・オーブはノーム族のもとにある」

 フィズバンが、がちゃんとマグを落とした。マグは粉々に砕けて、木の床に飛び散った。
「あーあ、だからぼく、さっきあんたに言ったでしょ?」

***

 えーっと、この時点での強さ選手権は

 グンター卿&太陽の評議長などの偉い人々<タッスル=フィズバン<ノーム族

 って把握でいいんでしょうか?フィズバンを絶句させ、のちには絶叫させ投擲機で投げ飛ばすとは、恐るべしノーム族。

 季節はYuletide、冬至節。キリスト教の行事であるクリスマスの代わりとして、ファンタジーでよく見かける言葉です。ファイナルファンタジー11だとStarlight Cerebration、星芒祭だったり。冬の盛りを明るく過ごしたくなるのはどこの世界でも共通なんでしょうか。しかして、実はキリストの誕生日は12月25日ではなく、土着の祭りとあわせて聖誕を祝うためにそういうことにしたんだとか。他の宗教もそうすれば良かったのかも知れませんね。


“Ah…” the gnome said, his eyes shining as he grasped the weapon. “Sendforamemberofthe WeaponGuild--“

「おお……」ノームは目を輝かせて、フーパックを握った。「ぶきくみあいのものをひとりよんで――」

***

 邦訳ではひらがなを並べ立てて表現しているノーム語は、原文ではひたすら空白抜きでまくしたてるのですね。竜槍ラジオドラマにも登場するとしたら、演じるのに肺活量いりそうです。

2014年12月4日木曜日

戦記4巻p53〜 オーブ

DRAGONS OF WINTER NIGHT p270

 “I have been happy,” he murmured to himself. “Strange. There have not been many times in my life I could make that claim. Certainly nor I was young, nor in these past few years, after they tortured my body and cursed me with these eyes. But then I never expected happiness. How paltry it is, compared to my magic!"

戦記4巻p53

「ぼくは幸せだった」かれはひとりつぶやいた。「おかしなものだ。これまで、幸せだと思えたことなどろくにないのに。とにかく、子供のころには一度もなかった。この数年もだ。体を蝕まれ、こんな眼にされてしまったのだから。でも、あの時には、ぼくは幸福など望みもしなかった。ぼくの魔法に比べたら、幸福などなんと卑小なことか!」

"Still…still, these past few weeks have been weeks of peace. Weeks of happiness. I don’t suppose any will come again. Not after what I must do--“

「でも……それでも、この数週間は、本当に平和な日々だった。もう二度とこんな日々はこないだろう。ぼくが、なすべきことをしてしまったあとでは―」

***

“Still…still,”
 どうかその気持ちを忘れないで持っていてください。うさぎの影絵やハーフ・エルフのまなざしと一緒に。


Relax, he thought. I must relax. I do not fear. I am strong. Look what I have done! Silently he called upon the orb: Look at the power I have attained! Witness what I did in Darken Wood. Witness what I did in Silvanesti. I am strong. I do not fear.

 落ち着け、とかれは思った。落ち着かなくてはいけないんだ。ぼくは恐れていない。ぼくは強い。ぼくの為してきたことを見ろ!無言のまま、かれはオーブに呼びかけた。ぼくの得た力を見ろ!ぼくが<闇の森>で為したことをよく見ろ。ぼくがシルヴァネスティで為したことを。ぼくは強い。ぼくは恐れない。

Will they turn upon their masters? Will they fall under my command?

That depends on the strength of the master and the bond between the two. In some instances, this is so strong that the master can maintain control of the dragon. But most will do what you ask of them. They cannot help themselves.

(ドラゴンに、自らの乗り手を襲わせれば?一頭残らずぼくの命令に従うだろうか?)
《乗り手の力と、乗り手との絆の強さ次第なり。時には強い絆をもつこともあろう。その場合は、乗り手はドラゴンの制御力を失わぬ。しかしたいていは、そなたの命ずるがままになろう。そうせずにはおれぬのだ》

***

 大司教の塔での闘いの伏線。今書いてる二次創作の影響で、キティアラの魅力に目覚めております。オーブの支配に抗ってスカイアを御したキットは凄かったのですね。


“You don’t know what happened to Raist in the Tower of High Sorcery. None of you know. None of you ever will. But I know. I was there. I saw. They made me see!”

“They said, ‘His strength will save the world.’ What strength? Inner strength? I’m his outer strength!”

「きみは<上位魔法の塔>でレイストに何が起きたか知らない。君たちみんなが知らないんだ。これからも知ることはないだろう。だが、おれは知っている。その場にいたのだ。おれは見た。見させられたのだ!」
「かれらは、レイストの力は世界を救うだろう、と言った。だが、どんな力だ?内なる力か?しかし、おれはあいつの外なる力なんだ!」

2014年12月3日水曜日

戦記4巻p40〜 騎士審理

DRAGONS OF A WINTER NIGHT p263

Wreathed around the blade was the ancient symbol of guilt, black roses.

“Sturm Brightblade, we have found you guilty. We are prepared to render judgement. Are you prepared to receive it?”
“Yes, my lord,” Sturm said tightly.

戦記4巻p40

 刃にからめてあるのは、いにしえからの罪の象徴――黒薔薇である。

「スターム・ブライトブレイド、われわれはそなたを有罪と決定した。これから審判を申し渡す。覚悟はよいか?」
「はい、閣下」スタームはきりりと答えた。

Gunthar tugged his moustaches, a sign that the men who had served with him recognized. Lord Gunthar always tugged his moustaches just before riding into battle.

 グンターは口髭を引っぱった。かれの部下にはなじみの身ぶり。グンター卿は戦闘に乗りこむ直前に、常に口髭を引っぱるのである。

***

 映画「グラディエーター」で、マキシマスが毎回戦闘の前に足下の土を取り、ゆっくりと手のひらに擦り付けていた仕草を思い出しました。アドレナリン濃度を高める儀式。さあ、戦闘開始です。


The knights in the hall shifted restlessly. This was ridiculous! No one had drawn pay in the service of the Order since the Cataclysm. Something was up. They smelled thunder before the storm.

 広間の騎士たちが、落ち着かなげに身じろぎした。ばかげた内容だ!<大変動>以来、誰も騎士団から報酬など受けていない。何かがおかしい。嵐の前の雷のにおいがした。

“Finally--” Lord Gunthar paused. He leaned forward, his hands toying with the black roses that graced the antique sword. His shrewd eyes swept the Assembly, gathering up his audience, allowing the tension to build. By the time he spoke, even the fire behind him had ceased to crackle.

「最後に――」グンター卿は言葉をとめた。身を乗り出して、かれは、古風な大剣を飾っている黒薔薇をもてあそんだ。きらりと光る目で会衆を見渡し、一同の注目を集め、緊張を盛り上げる。とうとう背後の暖炉の火さえはじけるのをやめたとき、かれは口を開いた。

“It is the judgment of this Council,” Lord Gunthar continued, ”that the young man, Sturm Brightblade, be accepted into the lowest order of the knights--the Order of the Crown--on my honor…

「騎士会議の審判として」と、グンター卿はつづけた。「若き男子スターム・ブライトブレイドは、わたしの名誉において、騎士の最下位――<冠>の勲爵士団に迎えられることとする……」

***

 テロスに続く素敵ダンディ、策士グンター卿。自在に場の空気を操る、旦那の言葉で言えば「劇場型政治家」ってやつでしょうか。上級騎士たるもの、剣が強いだけの脳筋では務まらないのです。お見事です。


Then, slowly and carefully, Sturm took the black roses from his sword. Laying them on the table, he slid the blade back in the scabbard at his side. He started to brush the roses aside, but paused, then picked up one and thrust it into his belt.

 それから、スタームはゆっくりと、自分の剣から黒薔薇を取り、テーブルの上に置くと、刀身を腰の鞘にすらりと戻した。かれは薔薇をはらいのけかけたが、思い直して、一本を手に取り、ベルトに差し込んだ。

2014年12月2日火曜日

戦記4巻p17〜 大幻術団

DRAGONS OF A WINTER NIGHT p249

“I believe,” said Raistlin softly, glancing around at the others, “that we solved our problems.”

戦記4巻p17

「これで」レイストリンは仲間を見まわしながら、「問題は解決したと思いますね」と、そっと言った。

“I would like to sing in the show tonight.”
“You have a powerful voice,”
“I remember quite well. The last song I heard you sing in the Inn of the Last Home touched off a riot that nearly got us killed.”

「今夜はわたくしも歌を歌おうと思います」
「あなたの歌声なら効果満点でしょうね」
「よく覚えていますよ。以前<憩いの我が家>亭でお歌いになった時は、大騒動を引き起こして、ぼくら全員あやうく死にかけましたっけ」

“I feared as much!” the mage hissed. “Another riot!”
“Perhaps not,” Tanis said, watching. “Look at the audience.”

「心配したとおりだ!」魔法使いは鋭くささやいた。「またひと騒ぎおきますよ!」
「いや」タニスはまわりを見て言った。「客を見ろ」

But, here and there, Tanis noticed a face still holding the wonder it had worn during the song. And he was not surprised to see a young, dark-skinned woman approach Goldmoon shyly.

And thus, slowly, word of the ancient gods began to spread.

 だがそこここで、歌を聞いていた時のままの陶然とした表情をいまだ浮かべている顔があるのに、タニスは気がついた。そして、褐色の膚をした若い女が恥ずかしげにゴールドムーンに近づくのを見ても、かれは驚かなかった。

 かくして、ゆっくりと、いにしえの神々のことが広まりはじめた。

***

 のちの独白にも出てきますが、この話でのレイストリンは本当に楽しそうです。実のところ、かれらの反応を見てみたいくらいです。


“Can you hear what Flint would say?”
“And can you imagine Sturm?”

「フリントがいたら、なんて言うだろう?」
「まして、スタームなら!」

“the thought being beyond words.”「考えるだけでも恐ろしい」だそうです。

2014年12月1日月曜日

戦記3巻p432〜 銀竜

DRAGONS OF WINTER NIGHT p240

“Will I be punished?”
“Some would say you are being punished right now, Silvara,”
“As the choice was up to you, so is your punishment.”

戦記3巻p432

「わたしは罰を受けるのでしょうか?」
「そなたはもう、今、罰を受けているともいえよう」
「選ぶのがそなたであったように、罰もそなたが決めること」

“Or is it a weakness? To love…”

「本当に弱さなのでしょうか、愛することは……?」

The shadow Silvara cast upon the wall was not the shadow of a young elfmaid.
It was the shadow of dragon.

 シルヴァラが壁に落とした影は、若いエルフの乙女の影ではなかった。
 それは、ドラゴンの影であった。

“To Theros of the Silver Arm,” she said, “I give the power to forge the dragonlance.”

「銀の腕なるテロス・アイアンフェルドよ、汝にドラゴンランスを鍛える力を授けます」

***

「〜なる」「汝」「授けます」のような物々しい言い回しが、原文では如何に?と楽しみだったんですが、至ってシンプルに”I give”だったのでちょっぴり残念でした。 ”bestow”(授ける、捧げる)とかいろいろ想像してたんですが。ここはこの平易な文をこのように訳す訳者にまたもや拍手、というところでしょうか。

 結局「樹海の緑竜の書」+「氷壁の白竜の書」で17回。3巻は長いからしょうがないんですが。いよいよ盛り上がってくる「尖塔の青竜の書」からは、執筆中の二次創作にも絡んでくるのでがっつり読まねばなりません。今年中にどこまで行けるのか…。