2014年11月7日金曜日

戦記2巻p213〜 変装

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT p386

“Stop that, you bold man!” Caramon simpered, slapping Eben’s hand as the fighter slyly slid his hand up Caramon’s skirt.

戦記2巻p213

「やめてよ、図々しい人ね!」キャラモンがしなを作って、スカートの中をこっそり這いあがってきたエーベンの手をぴしゃりと叩いた。

“No. I doubt Flamestrike could cast a spell on anything anymore.” Maritta smiled sadly. “ The poor critter’s more than half-mad. Her own children were killed in some great war or other and now she’s got in her head that our children are her children. I don’t know where his lordship dug her up, but it was a sorry thing to do and I hope he pays for it someday!”

「いいえ、フレームストライクがまだ何かに呪文をかけられるとは、とても思えないわ」マリッタは悲しげに言った。「気の毒に、あのへびさんはもう頭がおかしくなっているんですよ。自分の子供を何かの大きな戦さだかで失くしたもんで、今はあたしたちの子供を自分の子供だと思い込んでるんです。ドラゴン卿がどこで彼女を拾ったのか知らないけれど、まったくかわいそうなことをするもんですよ。いつかその報いを受けるがいいわ」

“Shave!” Sturm roared in such fury that the women scurried away from the knight in alarm.

「ひげを剃るだと!」スタームの激昂に、女たちがさっと逃げ散った。

Goldmoon finally took Tanis aside to explain that, in their tribe, any warrior who committed a cowardly act in battle was forced to wear women’s clothes until he redeemed himself.

 結局、ゴールドムーンがタニスをかたわらへ連れていって説明したのだが、かれらの部族では戦さで臆病な行いをした戦士は誰でも、名誉挽回を果たすまで女のなりをさせられるのだ。

“Why don’t you shave?” Laurana asked, staring at Tanis’s beard. “Or do you truly enjoy flaunting your human side as Gilthanas says?”
“I don’t flaunt it,” Tanis replied evenly. “I just got tired of trying to deny it, that’s all.”

「あなたはなぜ剃らないの?」ローラナはタニスの顎鬚を見ながら言った。「それともギルサナスの言ったように、本当は人間の血を見せびらかして喜んでいるのかしら?」

“What I did was the act of a lovesick little girl. I foolishly endangered your lives.”
“It will not happen again. I will prove I can be of value to the group.”

「わたしのしたことは恋わずらいの小さな女の子の行動だったわ。考えなしにあなた方の命を危険にさらしたんですもの」
「もう二度とあんなことにはなりません。わたしがいてよかった、とみんなに思ってもらえるようにします」

Although she talked glibly about being skilled in fighting, she had never killed so much as a rabbit.

 口では戦いに熟練していると言ったものの、ウサギ一匹さえ殺したことがなかった。

***

 もはやお約束、小動物と言えばうさぎ。
 この後ローラナはギルサナスの変装を手伝いに行ってます。…で。


There had, after all, been one last crisis. Raistlin, coughing until he was exhausted, said he was too weak to accompany them.

“You do not need me this night,” the mage whispered.

Glancing back, Caramon saw his twin, shrouded in blankets, lying in a dark, shadowy corner.

 ここにきて、もうひとつ厄介なことが起きた。レイストリンが激しく咳きこんだあげく、同行できるだけの力がない、と言い出したのだ。

「今夜はぼくの力は不要だろ」魔法使いはささやいた。

 ふり返ったキャラモンの目に、双子の弟が毛布にくるまり、暗くぼんやりした隅に横たわっているのが見えた。

***

 果たしてレイストリンは女装したのか?
 駄々こねたのはこの時女装するのが嫌だったからとか、いなくなってた理由は一人でこっそり女装の研究してたからとか(そりゃ言えませんわ)、いよいよ翌日出かけるときはどうしたのか、それを見たタニスが(キティアラに似ている…)とかなんとか…すみません、誰か止めてください妄想。

2014年11月6日木曜日

戦記2巻p193〜 鬼火

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT p374

“Oh, certainly. Let’s see, light…” Tas heard the magician fumbling in his pouches. Apparently he found what he was searching for, because he soon gave a little crow of triumph, spoke a few words, and a small puffball of bluish-yellow flame appeared, hovering near the magician’s hat.

戦記2巻p193
「おお、もっともじゃ。待てよ、明かり、と……」魔術師が小袋の中をごそごそするのが聞こえた。どうやら、捜していたものを見つけたらしく、かれはまもなく小さな喚声をあげ、二言三言唱えた。青みがかった黄色のかわいい鬼火が現れて、魔術師の帽子のそばに浮かんだ。

The glowing puffball whizzed up, danced around Tasslehoff as if to inspect the kender, then returned to the proud magician. Tas was enchanted.

 まばゆい鬼火はひゅんと上昇すると、まるで検分するように<ケンダー>のまわりでくるくる舞い、やがて自慢げな魔術師のもとへ戻った。タッスルは心を奪われた。

“Can you send the light up here?”
“Light, to the wheel,” Fizban instructed.
The light wavered in the air for a moment, then danced back and forth in a decidedly nay-saying manner.

「ここまで明かりをよこしてくれる?」
「明かりや――歯車へお行き」フィズバンが指図した。
 明かりはしばらく空中で揺れていたが、やがて、きっぱりといやいやを言うように前後に跳ねた。

“Light--to the wheel!”

The puffball flame darted around to hide behind the magician’s hat. Fizban, making a wild grab for it, nearly fell, and flung both arms around the chain. The puffball light danced in the air behind him as if enjoying game.

「明かりや――歯車へ行くんじゃ!」

 鬼火はぴゅっと飛んで、魔術師の帽子のうしろに隠れた。フィズバンはぐいとつかもうとして危うく落ちかけ、あたふたと両手で鎖につかまった。鬼火はゲームでも楽しむように、かれのうしろの宙で踊った。

“Uh, I guess we’ve got enough light, after all,”
“No discipline in the younger generation,” Fizban grumbled. “His father--now there was a puffball…”

「えーと、明かりはもうこれで十分なんじゃないかな」
「若いもんはしつけがなっとらん」フィズバンが不平を鳴らす。「あいつの親父さんは――さてさて、昔あるところに鬼火がおってな……」

“Light--to the tunnel,”

The puffball appeared to consider the command. Slowly it skittered to the edge of the tunnel, and then stopped.
“Inside the tunnel!” the magician commanded.
The puffball refused.

「明かりや――トンネルへお行き」
 鬼火は命令について考えこんでいるように見えた。そして、ゆっくりとトンネルの端まで跳ねていったが、そこで止まってしまった。
「トンネルの中じゃ!」魔術師が命じる。
 鬼火は拒否した。

“I think it’s afraid of the dark,” Fizban said apologetically.
“My goodness, how remarkable!”

「どうも暗闇を怖がっとるらしい」フィズバンが弁解する。
「うわ、なんて珍しい」

The puffball flame wandered over and settled on the brim of the magician’s hat.

Then he sniffed.

“Uh, Fizban,” he said. “Your hat’s on fire.”

 鬼火はきょろきょろと飛びまわっていたが、魔術師の帽子の縁に腰を据えた。

 しばらくして、かれはくんくんと匂いを嗅いだ。

「えーと、フィズバン」かれは言った。「あんたの帽子、燃えてるよ」

***

 2巻最高の萌えキャラ、鬼火たんです。
「鬼火」と言ったらwill o’ wispかfoxfireか、はたまたIgnis Fatuusと思ってたらまさかのpuffballですか。マスターの命令にいやいやしますか。”his”ってことは男の子ですか。鬼火のくせに暗闇怖いですか。帽子に止まって焼いちゃいますか。

 お持ち帰りしたい。


おまけ パフボール:
http://www.cutestpaw.com/images/puff-ball-2/

2014年11月5日水曜日

戦記2巻p185〜 ドロウ

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT p369

“Don’t open it!” Raistlin said suddenly.
“Why not?” asked Sturm. “Because you want to alert someone before we find the way into Pax Tharkas?”
“If I wanted to betray you, knight, I could have done so a thousand times before this!” Raistlin hissed, staring at the secret door.

戦記2巻p185

「あけてはいけません!」不意にレイストリンが言った。
「なぜだ?」と、スターム。「われわれがパックス・タルカスへの道を見つける前に、誰かに警告したいからではないのか?」
「もしぼくが裏切るつもりなら、騎士どの、今までに千回もその機会がありましたよ」レイストリンは鋭くささやいて、隠し扉を睨んだ。

“I sense a power behind that door greater than any I have felt since--“
“Since when?” his brother prompted gently.
“The Tower of High Sorcery!” Raistlin whispered. “I warn you, do not open the door!”

「その扉の向こうに強大な力を感じます。これほどの力は……以来です」
「え、いつだって!」かれの兄がそっと促す。
「<上位魔法の塔>以来!」レイストリンはささやいた。「これだけは言っておきます。その扉をあけてはいけません!」

His voice trailed off, his eyes widened in horror.
“What is it?”
“I don’t know!”
“I do!”
“It is the spirit of a dark elf!”

 かれの声が消えてゆき、目が恐怖に見開かれた。
「なんだ?」
「わからん」
「ぼくにはわかる」
「黒エルフの霊魂です!」

“That won’t stop her!” Eben cried, panic-striken.
“No,” said Raistlin softly. “Her magic is powerful, more powerful than mine. I can cast a spell on the door, but it will weaken me greatly. I suggest you run while you can. If it fails, perhaps I can stall her.”

「そんなことではとめられない!」エーベンが恐慌に陥って叫ぶ。
「ええ」レイストリンは優しく言った。「彼女の魔力は強く、ぼくのよりも強力です。これから扉に呪文をかけますが、そうするとぼくはかなり力を失ってしまいます。できるかぎり逃げてください。もし失敗しても、ぼくが時間稼ぎをできると思います」

***

「ぼくは我が身を無駄にするのだ――馬鹿な仲間達を、勝手にはまっている窮地から救い出すためだ」まさしくそのものですよ。スターム、ギルサナス、後でちゃんとレイストリンに詫びいれたんでしょうね?まあ本人はしばらく気絶しちゃってるし、仮に詫びられたとしても、つーんと受け流すんでしょうけど。今後もまだレイストを疑いの目で見ている彼らの精神構造のほうが理解に苦しみます。


Images of his battle with another dark elf in the Towers of High Sorcery came back to his mind. He struggled to blot out the evil memory of the battle that wrecked his body and came close to festroying his mind, but he felt himself losing control.

<上位魔法の塔>で別の黒エルフと戦ったときの有様が、かれの脳裏をよぎった。かれは、体ばかりか精神までも壊されかけたあの戦いの忌まわしい記憶を消し去ろうとあがいたが、しだいに自制心を失ってゆくのがわかった。

Then from somewhere inside the mage came a strength he had discovered within himself only twice before--in the Tower and on the alter of the black dragon in Xak-Tsaroth.

 そのとき、魔法使いの内側のどこかから、力がわきあがってきた。今までに二度しか――<塔>と、ザク・ツァロスの黒いドラゴンの祭壇でしか――現われなかった力である。

***

“evil”忌まわしい、不吉な、て意味もありましたね。せっかくなのでライトハウス類義語集より。

bad:goodの反対で、いろいろな意味で質が劣っていることを意味する最も一般的な語。
evil:道徳的に悪い意味ではbadよりも強く
wicked:はさらに強く積極的に悪いことをしようとする気持ちを暗示する。

2014年11月4日火曜日

戦記2巻p182〜 探索

 トゥームレイダースはまだまだ続きます。

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT  p367

“It’s no use,” the big men granted. “It won’t budge.”
Flint watched Caramon for several minutes, then finally stumped forward. Examining the door, hr snorted and shook his head. “It’s a false door!”
“Looks real to me!”

“Of course, it does,” Flint snorted. “We don’t build false doors to look false--even a gully dwarf knows that.”

戦記2巻p182

「だめだ」大男がうなる。「びくともしない」
 フリントはしばらくキャラモンを見守っていたが、とうとう自分から進み出た。かれは扉を調べて、ふん、と頭を振った。「偽扉だ!」
「おれには本物に見えるぞ」
「あたりまえだ」フリントが鼻を鳴らす。「わしらは偽扉を偽らしく造ったりはせん――どぶドワーフにだってわかることだ」

“Stand back,” Raistlin whispered, carefully leaning his staff against a wall.

「さがってください」レイストリンがささやいて、注意深く壁に杖をもたせかけた。

 “Khetsaram pakliol!” There was a flare of orange light, but not from the door--it came from the wall!
“Move!” Raistlin grabbed his brother and jerked him back, just as the entire wall, bronze door and all, began to pivot.

「ケッサラム・パクリオル!」オレンジ色の光がぱっと燃えあがった。しかし、扉からではなく――壁からだった。
「どいて」レイストリンが兄をつかんでぐいとさがらせると同時に、壁全体が、正道の扉も含めて、そっくりそのまま回転しはじめた。

***

 コメントで「レイストリンはたまにキャラモンの前で口調が幼くなる」とのご指摘を頂いてますが、この「どいて」もきてると思います。日常生活でうっかり使って自爆しそう。


“That is first spell I have cast from the spellbook of Fistandantilus. The spell of opening worked, but I did not believe it would drain me like this.”

「初めてフィスタンダンティラスの呪文書の魔法をかけてみたんだ。開放の呪文は効いたけれど、これほど消耗するとは思わなかった」

***

 邦訳「消耗する」ではなんとも思わなかったんですが、”drain”と聞いて、まさかフィスタンダンティラスが呪文を通じてレイストの体力を吸い取ってるんじゃないでしょうね?と疑いを覚えました。

2014年11月3日月曜日

戦記2巻p156〜<キス=カナン>

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT  p352

“This was the burial chamber of Kith-Kanan”

“More spooks,”
“Send the mage in first, so he can warn them we’re coming.”

“Throw the dwarf in,”
“They are accustomed to living in dark, dank caves.”

“Stop it, both of you!”

戦記2巻p156

「ここはキス=カナンの霊廟だった」
「また幽霊か」
「魔法使いを先に送りこめ。わしらが入るのを、幽霊どもに警告しておいてもらおう」
「ドワーフを放り込んだほうがいいでしょう」
「ドワーフ族は暗くて湿った洞穴には慣れていますからね」
「やめないか、二人とも!」

***

 どこの小学生ですか全くもう(笑)。タニス先生苦労してます。


The throne they guarded was not empty. Upon it sat the skeletal remains of what had once been a male--of what race, none could say, death being the great equalizer.

The bone hands, fingers lying gracefully in death, rested on a sheathed sword.

 彼らが護っている玉座は空席ではなかった。玉座には、かつて男性であった者の骸骨が座っていた――どの種族の者かは、偉大な平等主義者である<死>のおかげで誰にもわからなかった。

 骨張った両手の指は、死してなお優雅に、鞘に収めた剣の上に置かれていた。


 巨大なめくじ登場。さらに降って湧いたローラナの登場に動揺したタニスは、なめくじの腐食液を浴びた右手ごと剣をやられてしまいます。その時――

“The sword is enchanted,” Raistlin said softly, coughing. “How did you get it?”

“I was near the body of the elven king, searching for something to throw at the slug, when, suddenly, the sword was in my hand. It had been take out of the sheath and--“

「その剣には魔法がかかっています」レイストリンは咳こみながら低く言った。「どうやって取りました?」
「おれはエルフの王の遺体のそばにいて、何かなめくじに投げるものを捜していた。すると、不意に剣が手の中にあったんだ。鞘から抜かれていて――」

“Yes?”
He gave it to me,” Tanis said softly. “I remember, his hand touched mine. He pulled it from its sheath.”
“Who?” asked Gilthanas. “None of us were near there.”
“Kith-Kanan….”

「それで?」
「かれがおれにくれた」タニスは低く言った。「思い出した。かれの手がおれの手に触れた、かれが剣を鞘から抜いた」
「誰が?」と、ギルサナス。「ぼくらは誰もあのそばにはいなかった」
「キス=カナンだ……」

***

 ファンタジーものに登場する武器の多くは、木を切り倒す斧だったり、獲物を狩る弓や槍だったり、作物を刈り取る鎌だったりと、実用的な起源を持っています。しかして武器の中の武器、剣は対人戦闘のために生まれてきました。対人戦闘、権力闘争、つまりは権力の象徴(剣と権が同じ音を持つのは偶然でしょうか?)。まして王の剣と言ったら王権そのものです。
 キス=カナンは何故タニスに剣を託したのでしょう。後にかれの息子ギルサスがクォリネスティの王位に就いたのは、母の血筋のおかげばかりではないのかもしれません。

2014年11月2日日曜日

戦記2巻p131〜 疑惑

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT  p337

“I’ll believe he’s turned traitor to his people the day I believe you or Caramon turn traitor.”

Tanis shouted, now on fury, “if there’s people I don’t trust in this group, it’s that brother of yours and that old man!” He stared accusingly at Caramon.

戦記2巻p131

「かれは仲間を裏切るなど、君やキャラモンが裏切るのと同様おれには信じられない」

「このグループでおれが信用していない者がいるとすれば、それは君の弟とあの老人だ!」かれは弾劾の目でキャラモンを睨んだ。

“I’m sorry, Caramon.”
“I didn’t mean that. Raistlin’s saved our lives more than once on this insane journey. It’s just that I can’t believe Gilthanas is a traitor!”

「すまない、キャラモン」
「そんなつもりじゃなかった。レイストリンはこの気違いじみた旅で、一度ならずおれたちの命を助けてくれた。おれはただ、ギルサナスが裏切り者だとは信じられないだけなんだ!」

“What does Sla-Mori mean?”
“Secret Way.”

「“スラ=モリ”の意味は?」
「“秘密の道”」

***

"I'll believe--"直訳すると「君やキャラモンが裏切り者になる日が来たら、かれ(ギルサナス)が裏切り者になったと信じるだろう」英語的まわりくどさ?


 拙文の下書きにはWordを使ってるんですが、実はこの辺りのメモを取ってる頃まで、ティカの綴りをTicaと勘違いしてました。気がついて慌てて全文置換かけたら、”frantically”なんて単語から”that I can’t”なんてのまで置換されてカオスなことに。あぶないあぶない。

 本題に戻りまして、謎の男エーベン登場。ギルサナスと旧知の仲のようですが…。


“I dared not leave him behind,” Gilthanas answered grimly. “One of us should keep an eye on him.”
“Yes.” Tanis fell silent.

「残すのが不安だったからだ」ギルサナスはむっつりと答えた。「かれから目を離さないことだ」
「ああ」タニスは沈黙した。

“And on me, too, you’re thinking,” Gilthanas said in a tight voice. “I know what the others say--the knight especially. But, I swear to you, Tanis, I’m not a traitor! I want one thing!” The elf’s eyes gleamed feverishly in the dying light. “I want to destroy this Verminaard. If you could have seen him as his dragon destroyed my people! I’d gladly sacrifice my life--“

「ぼくも同じだ、と思っているんだろう」ギルサナスが固い声で言った。「みんながなんと言っているかくらい、わかってる。とくにあの騎士だ。だが、タニス、ぼくは誓って裏切り者ではないぞ!ぼくの望みはただひとつ」エルフの瞳は消えてゆく光の中で熱っぽく燃えた。「ぼくはあのヴェルミナアルドをうち滅ぼしたい。やつがドラゴンにエルフたちを殺させたときのありさまを、おまえも見ていたなら!ぼくは喜んで命を――」ギルサナスはだしぬけに言葉を止めた。

***

 ギルサナスが「タニス」と呼ぶのはこれが初めてですね。すぐに戻っちゃいましたが。


“And our lives as well?”

“If you must know, Tanthalas, your life means that--“ He snapped his fingers. “But the lives of my people are everything to me.”

「おれたちの命も、か?」
「知りたいと言うのなら、タンサラス、おまえたちの命など、こうだ」かれはぱちんと指を鳴らした。「だが、エルフの民の命はぼくにはすべてなのだ」

***

 レイストリンほどではないですが、ギルサナスも信じてもらおうって気がないですね。ほらほら、奴は讒言吐きまくりだと言うのに!
 ところでタニスは”our lives”「おれたちの命」と訊ねていますが、原文のギルサナスは”your life”と単数(タニス一人)について答えています。そして邦訳では「おまえたちの命」。なんだか気になりました。

2014年11月1日土曜日

戦記2巻p125〜 決断

DRAGONS OF AUTUMN TWILIGHT  p334

“I will go to Pax Tharkas,” Tanis said softly, “But I believe it is time now that we separate, my friends. Before you speak, let me say this. I would send Tika, Goldmoon, Riverwind, Caramon and Raistlin, and you, Fizban, with the elves in hopes that you may carry the Disks to safety. The Disks are too precious to risk on a raid into Pax Tharkas.”

戦記2巻p125

「おれはパックス・タルカスへ行く」タニスは低く言った。「だが、みんな、今は別行動を取るべきだと思う。反対する前に、まずおれの話を聞いてくれ。ティカ、ゴールドムーン、リヴァーウィンド、キャラモン、レイストリン、それからフィズバン、あなたも。このみんなは<円盤>を守って、エルフたちと一緒に行ってほしい。貴重な<円盤>をパックス・タルカス襲撃の危険にはさらせない」

“You named me your leader--“

“Aye, we did, lad,” said Flint suddenly. “But this decision is coming from your head, not your heart. Deep inside, you don’t really believe we should split up.”

「みんなはおれをリーダーと呼んでくれたが――」
「ああ、そうとも、坊主」フリントが口をはさんだ。「だが、この決定はおまえさんの頭から生まれたものだ――心の中からじゃない。胸の奥底ではおまえさんも、別行動を取るべきだとは本当に信じちゃいない」

***

「指導者たる者、時には頭でなく心で考えねばならないことを、タニスは知っているのです」3巻レイストリンの言葉。そう、頭はレイストに任せておけばいいのです。


“I’m going with you, Tanis. I plan to become a swordswoman, like Kithiara.”

「わたし、女剣士になるの。キティアラみたいに」

“Now maybe we can get some sleep.” Fizban yawned.
“Wait a minute, Old One,” Tanis said sternly. “You are not one of us. You’re definitely going with the elves.”
“Am I?”

「さてと、これでみんな少し寝れるかな」フィズバンがあくびをした。
「ちょっと待ってください」タニスが厳しく言った。「あなたはおれたちの一員ではない。当然エルフと一緒に行ってもらいます」
「わしが?」

He stared at Tanis with such a penetrating--almost menacing--gaze that the half-elf involuntarily took a step back, suddenly sensing an almost palpable aura of power surrounding the old man.

“I go where I choose in this world, and I choose to go with you, Tanis Half-Elven.”

 その貫き通すような――ほとんど脅かすような――視線で見つめられ、タニスは不意に、老人の周囲に手でさわれるほどの力の霊気を感じて、あとじさった。
「わしはこの世界のどこでも、行くと決めたところに行く。そして、わしはあんたと行くと決めたんじゃ、ハーフ・エルフのタニス」

Raistlin glanced at Tanis as if to say, Now you understand! 

“I speak you this, Raistlin,” Tanis said suddenly, using Camptalk, a corrupted form of Common developed among the racially mixed mercenaries of Krynn.

“We talk if want,” Raistlin answered in the same language, “but little know I.”

 レイストリンが、もうわかったでしょうと言うように、ちらりとタニスを見た。

「このことで少し話をしたい、レイストリン」タニスはふと軍隊言葉を使った。クリンの多種族混成の傭兵たちの間で発達した、共通語の訛ったものである。

「必要ならば話しますが」レイストリンは同じ言葉で答えた。「でも、ぼくの知っていることはほとんどありませんよ」

“You fear. Why?”

“I know not, Tanis. But--you right. There power be, within Old One. I feel great power. I fear.”
“And I hunger!”

「君は恐れているな。なぜだ?」
「ぼくにはわかりません。でも――タニスの言うとおりです。あの老師は力を秘めているはずです。大きな力を感じます。恐ろしい」
「そして、羨ましい!」

“As if one crazed mage wasn’t bad enough,” Flint muttered.

「頭の変な魔法使いなら、もうすでに一人おるというのに」フリントがこぼした。